アンチバイアス教育のビデオのなかにある、次のような場面が想起される。それは、メアリー(仮名)が砂場で遊んでいるところにメイ(仮名)(中国人あるいは中国系アメリカ人)が遊びに来て、誤って砂でつくったお城を壊してしまう。メアリー(仮名)は、怒って「チャイニーズのくせに!」と言う。メイ(仮名)はその後保育園に行きたくなくなる。「このお話の続きは?」と保育士が問いかける。それに対して子どもたちはさまざまな意見を言う。「バカにしている」「メアリー(仮名)が悪い」などからはじまり、だんだん問題解決の方向に意見が向かう。保育士はこのとき、解決方法はいくつもある、ということに気づかせる方向に導いていくのがよい、とアンチバイアス教育では提言する。日本での「きめつけ」の場面で、このような話し合いは応用できないものであろうか。また、クラスにある「きめつけ」の姿として、「自分より体が小さい、動きがゆっくり、要求の出し方が弱い、あまり抵抗しない存在感の薄い子に対して何をしてもいいと軽くみる」ということが述べられている。きた保育園は、このような状況をきちんと把握し、まさに重要な点に着目している。この気づきを発展させ、日本流アンチバイアス教育の展開が期待される。「きめつけた」見方をされる子どもが大きな心の傷を負うことは容易に予想されるが、それだけではなく、「きめつけた見方しかできない、すなわち、ものごとを公平にみることができない子どもも、このままにしておくと大変不幸なことである。「きめつけ」を明らかにしたきた保育園の取り組みが、ダーマン・スパークスのアンチバイアス教育の実践からヒントを得ながら、解決方法はひとつでなくとも、いい形で発展していくことが強く望まれる。
[参考サイト]
保育士の資格
http://www.seitoku.jp/kttcsu/